エネルギー解析用モデル内のサーフェスについて

エネルギー解析用モデルでは、サーフェスは各スペース間の熱伝達の経路です。これには、内部スペースと外部環境との間のサーフェスも含まれます。

正確には、これらのサーフェスはスペース境界サーフェスです。ただし Revit では単にサーフェスと呼ばれます。

次の図では、5 つのスペースがサーフェスによって区切られています。ギャップは、サーフェス間の分割を示します。

サーフェスの隣接要素とサーフェス タイプ

サーフェスの隣接要素とサーフェス タイプは、エネルギー シミュレーション中に各サーフェスをどのように処理するかを決定する属性です。

[サーフェスの隣接要素]には次のいずれかの値を指定できます。

[サーフェス タイプ]を指定すると、エネルギー シミュレーションでサーフェスがモデル内の何を表しているかに基づいてサーフェスを区別することができます。 たとえば、屋根、内壁、および外壁の熱伝達係数は異なります。

エネルギー解析モードが建物要素またはコンセプト マスと建物要素を使用するように設定されている場合、同じタイプの隣接するすべてのカーテン パネルで 1 つの解析サーフェスが作成されます。

サーフェスには、地面に接触するタイプや、透過性や透光性があるタイプ、太陽熱を蓄えるタイプなどがあります。また、遮光要素もサーフェスの一種です。エネルギー解析中には、遮光要素の熱伝達はシミュレートされません。遮光要素は単に、他のサーフェスへの直接的な太陽放射を遮ります。

また、サーフェス タイプに空気を指定することもできます。この値は、大きなサイズの部屋が複数のスペースから構成されている場合に使用します。空気は、部屋をさらに細かく区切る仮想の面を表します。

サーフェス ジオメトリ

エネルギー解析用モデルでは、サーフェス ジオメトリは建物のフォームとレイアウトを表します。gbXML では、サーフェス ジオメトリは平面と矩形という 2 つの方法で表すことができます。

どちらの場合でも、各外部サーフェスの全体の面積と位置は太陽と風に対して相対的に表す必要があります。エネルギー シミュレーションでは、この情報に基づいて、サーフェスとスペース間の熱伝達量を決定することができます。

  1. サーフェスの平面ジオメトリは、一連の直交座標 X、Y、Z 点を使用して設定されます。これらの座標点は、各平面サーフェスの位置、形状、およびサイズをキャプチャします。
  2. サーフェスの矩形ジオメトリは、同じ情報(太陽と風に対して相対的なサーフェスの面積と位置)をキャプチャします。ただし、高さ、幅、傾斜、および向きには単に数値を使用します。
1. 平面ジオメトリ 2. 矩形ジオメトリ
幅 = 10

高さ = 4

傾斜 = 90 度

方位角 = 0 度

傾斜は地平線からの垂直角度です。方位角は、敷地の方向に対する水平方向です。

平面ジオメトリは、建物の実際のフォームとレイアウトを個別の平面サーフェスで表すため、より一般的に使用されます。矩形ジオメトリは、より抽象的であるため視覚的に検証するのが困難であり、他のサーフェスからの遮光などを考慮することができません。

建物全体のエネルギー シミュレーションに最も一般的に使用されるのは、サーフェス平面ジオメトリです。

選択したサーフェスについて、次のパラメータが[プロパティ]パレットに表示されます。
  • サーフェスのポリゴンの傾斜
  • サーフェスのポリゴンの方位角
  • 解析用スペースに割り当てられている名前
  • 隣接する解析用スペースに割り当てられている名前

スペースとサーフェスの精度

建築モデルからエネルギー解析用モデルを生成するときに、スペースとサーフェスを配置し、測定する方法は複数あります。たとえば次の図は、一部のモデル オーサリング ツールが、さまざまな方法で面積、容積、および境界サーフェスを定義し、それぞれがわずかずつ異なる測定と座標のセットを生成する様子を示しています。

  1. 内壁面
  2. 壁の中心線と壁の外壁面
  3. その他の組み合わせ

Revit 用エネルギー最適化を使用すると、自動的に作成されるエネルギー解析用モデルの実際の測定値との誤差が一般的に、0 ~ -3%、大きくても -5% であるという正確さが発揮されます。この精度を達成するには、[解析用スペース分割値]と[解析用サーフェス分割値]に適切な値が設定されている必要があります。

精度に影響するもう 1 つの要素は、キャプチャする建築フィーチャの複雑さです。エネルギー解析用モデルについての文脈でいえば、曲線状の壁や屋根などの基本的なフィーチャは、表現に限界のある平面サーフェスでは簡単に表すことができません。熱伝達プロセスを効率的にキャプチャするには、複雑な建物フィーチャを正確に表現する必要があります。たとえば曲線状の壁の場合、単純な表現だけでも面積であれば適切にキャプチャできますが、太陽光のシェーディング エフェクトは概数でしか表せない可能性があります。次の図は、2 つか 7 つの境界サーフェスを使用してエネルギー解析用モデルで表現した同じ曲線壁です。

Insight - Energy Analysis 用エネルギー最適化を使用すると、エネルギー解析用モデル作成を目的とする自動化プロセスによって、簡素化は最小限しか行われませんが、精度は向上します。このプロセスでは、モデルに設定された建築要素が直接使用されます。この方法で作成される gbXML プロセスはサイズが大きくなる可能性がありますが、クラウドの処理方針によってこの問題の影響はほとんどなくなります。

サーフェス エッジの精度

スペース境界サーフェスが相互に正確に一致している必要はありません。サーフェスは、気体を密閉する空間を形成する必要はなく、スペースの面積や容積に正確に適合する必要もありません。エネルギー シミュレーション エンジンにも gbXML スキーマにも、このような気密空間は必要ありません。

実際、スペースの面積、容積、および境界サーフェスは独立した項目です。その結果、サーフェス間に小さいギャップや重なりが生じることがあります。気密境界を正確に判別するのは困難であったり、コストがかかることがあるため、このアプローチが重要となります。完全気密型のモデルであれば、エネルギー解析用モデルの信頼性にはほとんど影響しません。

たとえば、下記の図には以下が含まれています。

  1. 複数のサーフェスが一致するモデル
  2. サーフェスが一致しないモデル
  3. どの場合でも、スペースの面積と容積の値は完全に独立しています。スペースの面積と容積の値が正確である限り、方法 1 と 2 のどちらを使用しても構いません。
注: gbXML スキーマで、ClosedShell 要素を定義するためにサーフェスを使用するときには、要素を閉じる必要があります。ただしこれらの要素は一般的に、エネルギー シミュレーションで直接使用されることはありません。